フリートウッド・マック『タンゴ・イン・ザ・ナイト』 Fleetwood Mac - Tango In The Night (1987)
初めまして。「ディシプリン」メンバーのビリーです。
当ブログでは、「ディシプリン」と名乗るグループがそれぞれアルバム等音楽についてつらつらと「感じるままに」想いを綴っていきます。
記事の内容はあくまでメンバー個人の解釈となります。温かい目で見守っていただければ幸いです。
それでは、本題に入りたいと思います。
フリートウッド・マック『タンゴ・イン・ザ・ナイト』 Fleetwood Mac - Tango In The Night
アルバム基本情報
発売年:1987年
プロデューサー:リンジー・バッキンガム、リチャード・ダシュト
全米7位、全英1位
曲目
1. Big Love (3:37)
2. Seven Wonders (3:38)
3. Everywhere (3:48)
4. Caroline (3:50)
5. Tango In The Night (3:56)
6. Mystified (3:08)
7. Little Lies (3:40)
8. Family Man (4:08)
9. Welcome To The Room... Sara (3:37)
10. Isn't It Midnight (4:06)
11. When I See You Again (3:49)
12. You And I, Part II (2:40)
ビリーのコメント
去年新たにリマスターされたこのアルバム、メンバーはリンジー・バッキンガム、スティーヴィー・ニックス、クリスティーン・マクヴィー、ジョン・マクヴィー、ミック・フリートウッドの、いわゆる「黄金期」の5人。前作『ミラージュ』から5年の歳月がたち、リンジー、スティーヴィー、クリスティーンはソロで成功していた彼ら。ジョン・マクヴィーに至っては音楽業界から半引退状態でした。そんな5人が集まった最後のアルバムがこれ。その完成度の高さに、ファンはこう呼びます。
「フリートウッド・マックのアビー・ロード」
ファンの一人として、確かにと思います。しかし、このアルバム、当初はリンジーのソロプロジェクトとして始まっていたのです!そのため、リンジーのソロアルバムでも頻繁に使われるフェアライトというサンプラーが前面に出ており、エキゾチックでキラキラ輝く南国の海を思わせるようなサウンドです。
もちろん、ほかのメンバーの貢献も大きなものがあります。特にクリスティーン・マクヴィーは、アルバムからの最大シングルヒット、「Little Lies」を当時の夫と共作、リードボーカルもとっています。ビルボードHot 100で最高4位まで昇りつめました。
曲はこちら↓
しかしこのアルバム、どこか影のようなものを感じるのです。上に挙げた曲もそうですが、個人的に一番気に入っているのが、プロデューサーとしてもアルバムを主導したリンジー・バッキンガムとクリスティーン・マクヴィーの共作による、「You And I, Part II」という曲です。
アルバムの最後に収録された曲。キラキラと明るいシンセ音が鳴っていますが、どこか影を感じませんか?
この曲、歌詞がダブルにもトリプルにも解釈できる意味深な曲なのです。文字通り受け取るなら恋人二人の夜のラブソング。しかし多くのファンは、この曲をリンジーによるバンドへの三行半ととらえています。
「Hoping tomorrow will never come / for you and I
(明日が訪れませんように / 君と僕に)」
この部分、リンジーがもう「君たちとは仕事したくないよ」というのを遠回しに言っているといわれています(事実リンジーはこのアルバムを最後に一度脱退します)。夜の甘いラブソングの言い回しで、実は恨み節だったとしたら、輝く海面のような音が少しダークに聞こえませんか。夜の水面のような。そしてそこでは、エキゾチックなタンゴが響いている…そんな情景も浮かんできます。
個人的にフリートウッド・マック全キャリアの中で一番好きなアルバムです。明るさのなかの暗さ、そんなところに惹かれます。しかし、どの曲もポップで聴きやすいです。リマスターもされたのでこの機会にぜひ、独特の世界観を味わってみてはいかがでしょうか。
今回は以上です。最後まで読んでくださった方ありがとうございます。またお会いしましょう。